スタミナとパリィが創り出す“リスクとリターン”─CRONOSバトルシステム設計ノート

ゲームの戦闘が面白く感じられるかどうかは、ひとえに「リスクとリターン」の構造が機能しているかにかかっています。

リスクが小さければリターンも小さく、逆に高いリスクを背負えばこそ大きな見返りを得られる――この原理がプレイヤーを次の一手へと駆り立てます。

私は、開発中のオープンワールド RPG「CRONOS」において、スタミナとパリィという二つの仕組みを導入し、Minecraft 既存の戦闘感覚に新鮮な駆け引きを重ねる方法を探りました。本稿では、その設計思想と具体的な仕組みをまとめます。

Minecraft 標準戦闘の課題

Minecraft の近接戦闘は「近づいてクリックする」という極めてシンプルな操作体系で成立しています。

敵 AI も基本的には「一定距離に入ったら攻撃」という単調なパターンが中心で、スケルトンのような遠隔攻撃を除けば、複雑な行動を読む必要はさほどありません。

もちろん、武器選択や立ち回りの工夫で深みは生まれますが、熟練者ほどリスク・リターンの振れ幅が薄く感じられるのも事実です。

ここを拡張するために着目したのが、リソース管理としてのスタミナと、タイミング入力としてのパリィでした。

三つの距離と感染者 AI

CRONOS では敵(作中で「感染者」と呼ぶ)との距離を「遠距離」「中距離」「近距離」の三段階に分類し、それぞれに AI の行動を若干切り替えています。

  • 遠距離:攻撃を受けるリスクがほぼなく、プレイヤー側もリターンを得られません。感染者はこの間合いを嫌い、通常より速い速度で距離を詰めようとします(注:現時点ではバグで速度が適用されていませんが、次回アップデートで修正予定です)。
  • 中距離:ここが主戦場です。プレイヤーは通常攻撃を仕掛けられる一方、感染者は大きく踏み込む飛び込み攻撃を放ちます。闇雲に殴り続ければスタミナが枯渇し、飛び込みを避ける余力が残りません。攻撃そのものがリスクを高める設計により、間合い・攻撃管理の重みを引き上げました。
  • 近距離:感染者の通常攻撃圏内で、プレイヤー側のリスクが最大化します。理想的にはここへ踏み込まれないよう立ち回るのが定石です。
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スタミナによる攻守のテンポ

プレイヤーの攻撃やジャンプなどの行動はすべてスタミナを消費します。

攻撃を連打すれば 攻撃量は一時的に伸びますが、ゲージが空になった瞬間に速度低下などのペナルティが生じ、感染者の攻撃や飛び込みを許す形になります。

逆に、適度に手を止めて回復を挟む判断ができれば、リスクを抑えたまま攻撃機会を維持できる、というデザインです。

パリィによる大きなリスクとリターン

感染者の飛び込み攻撃は距離を一気に詰めるため、ダメージを受けるリスクが高い半面、ジャストタイミングで攻撃を合わせると“パリィ”が発動します。

感染者は怯み、プレイヤーはスタミナを温存したまま強力なフィニッシュ攻撃を叩き込める――高リスクに見合った大リターンです。

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これがあることで、プレイヤーは「飛び込みを誘い、読み、さばく」という攻守転換の瞬間に快感を覚えます。

まとめ

距離別 AI、スタミナ消費、パリィ判定が絡むことで、「攻めたいが攻めすぎれば踏み込まれる」「踏み込んだ敵を捌ければ一気に優勢」といった動的なリスクとリターンの循環が生まれました。

さらに実戦では、武器耐久値やスキル技、爆薬など環境要素が選択肢を一段と複雑にし、戦闘ごとに異なる最適解を模索させています。

CRONOS の戦闘デザインは、Minecraft の親しみやすい操作感を残しつつ、「スタミナとパリィがもたらす駆け引き」を軸に組み立てました。

最後までご覧いただきありがとうございました。

もしも本作にご興味をお持ちいただけたなら、以下の配布ページから実際の手応えをご体験ください。

【本格オープンワールドRPG】CRONOS Beta-1
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