Tale『運命の後始末』

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⚠️マップ「ConneCtia」のネタバレが含まれております。未プレイの方は閲覧非推奨です。⚠️

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「お姉さん、今暇なの?」

またか、と思う。軟派ならもう少しいい相手がいるだろうに、なんで私にロックオンしてしまうのだろうか。

特に意識した事はなかったが、どうやら自分の容姿は他人から見て悪くないものであり、そのせいでこういう人に声をかけられる。

”あの2人”は買い出しに出かけているため、自分1人で処理しなければならない。

(心の底から、めんどくさいですね…)

こんな事なら、大人しく最近趣味から特技に昇格した裁縫でもしてればよかったか。いやでも今日すごいいい天気だったし。ううん。

「お姉さん?聞こえてる?」

ああめんどくさい。別に逃げてもいいのだが、そうするとこの男が諦めずにしつこく何度も突貫してくる可能性がある。

この世界で長距離を走れる自信もなかったし、ここはあの手を使わせてもらおう。

「人間の血管って、とても長いんですよ。知ってますか?」

突然意味不明な話題を突きつけられ、男は困惑している。よし、これはハマった。

「ああ、まあ…全部伸ばすと、地球2周半分の長さがある、とかいう話だろ?急にどうしたの、お姉さん」

「でも、私信じられなくて。こんな小さな体に、めちゃくちゃな長さの血管が通っているだなんて。だから、私。」

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『試してみたんです』

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「は」

「でも、2mくらい引き抜いたとこで、いつもちぎれちゃうんです。なんで人間の血管ってあんなに脆いんでしょうね?」

男は血の気の引いた顔をして、こちらを見ている。まだ逃げないんだ。

「それでなんですけど、

今、実験台が足りなかったんですけど、

あなた、けっこう丈夫そうですよね?」

そう言って、手元のバッグから裁縫バサミを取り出す。

貼り付けたような笑顔で、にたりと笑う。

「うわああああああああ!!!!」

逃げた。そんな小さい肝っ玉で、なんで軟派なんて続けられるのだろう。

「はぁ…折角リフレッシュしに外に出たのに疲れちゃいました、今日は大人しく家に篭っときましょうか……」

そう呟き、その場から踵を返す。と。

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「はい、こんにちは」

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いつの間にか真後ろに、第2の面倒事が佇んでいた。もう最悪だ。今日は厄日だ。なんで1日に何回も、面倒そうな人物に関わらなきゃならない。

「…どなたですか」

目の前の白いフードを深く被り、両手をフードのポケットに突っ込み、首から青色のペンダントを引っさげた人物に、言葉を投げかける。赤い目をした友人に「見た目で判断しちゃダメだぞ!」とか言われたが、これは見た目で判断していいタイプの変質者だろう。

先程の出来事で気持ちが萎えているため、あまり喋る気力もない。単刀直入に聞きたいことだけ聞く。

「どなた?どなたか、難しいな…」

目の前の人物は一考して、

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”calmia”

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ごぼっ。

血を、吐き戻した。もちろん私が。

何か重いものが、ずん、と身体にのしかかる感じがした。

「なに」

「やったん、です?」

この感じを、私が知っている。

『私の情報が、どこかで開示されている』。

「なあ、カルミア。”ハッピーエンド”を迎えた後のこの世界で、君の価値はどのくらいあると思う?」

「…あなた、い」ごぷ「…一体、なにを」

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”青色の目を持つ、ピンクの長髪の女”

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かひゅっ。

息が、苦しい。右胸の奥がちぎれるほどいたい。

たぶん、片肺が潰れた。

膝から道路の上に崩れ落ちる。

「……っ」

もう喋れない。目の前の人物の話を、ただただ聞くことしかできない。

「お前のその状況は、僕のせいじゃないよ。

僕は、そのチャンスを作っているだけ」

なにを、いってるんだ?

「”こちらの世界”には、『情報が隠されている』ってだけで、それがどんな内容であれ閲覧せずにはいられない…そんな奴らが沢山いるんだ。

彼らは、その先が幸せの道には確実に繋がらないとわかっていても、興味本位でそれを試してしまう。そんな、タチの悪い連中だ。」

……しっている

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”彼女は、「上の世界」で自分の情報を知っている人物が多いほど、死に近づく”

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ぶしゃっ。

目から、鼻から、口から。

赤黒いものがどばっと吹き出る。

もう、長くない。

「奴らは、物語が面白ければそれでいい。

お前たちの幸せなんて、二の次なんだよ」

…そ れも、しって る

めがかすんでみえない。

めのまえのひとが、どんなひょうじょうをしてるのかも、わからない。

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「お前は、奴らに殺されるんだよ」

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……そ  れ で    も

……わた しは かれら を し んじ て

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なんでそんなに、わたしをころしたいの?

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”calmia”が、白フードによって排水溝の下へと突き落とされる。

踵を返した白フードの人物は、小さく呟く。

「残念、今回もバッドエンドだ。」

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