Tale『幸せな忘却、などではなく』

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⚠️マップ『忘却のエミ』のネタバレを含んでいます。未プレイの方は閲覧非推奨です。⚠️

夢を、見たんだ。

ああいや、そんな大それた内容じゃないさ。

とりあえず肩の力を抜いて…

ま、与太話だと思って話半分に聞いてくれ。

なんというか…こう、どこか懐かしい夢だった。

目覚めた時、ボクは雪山にいた。

君が知らない、謎の雪山さ。

そこでは、沢山の仲間達がいて。

みいんな、幸せそうでさ。

そんでもって、

”全員が泣きながら笑ってた”。

不思議とそれに対して違和感はなにも無かった。

むしろ、ほっとしたんだ。

彼らが揃いも揃って涙を流しながら笑っている光景を見て、胸をなでおろしてしまったってわけだ。

とにかく、仲間が幸せそうに笑ってるんだから、ボクも笑い返そうと思ったんだ。

だけど、笑えなかった。

なんでだろうね?

いくら笑おうとしても、口角が1ミリも上がらなかったんだ。

彼らは、依然として涙をぼろぼろ零しながら笑っているっていうのに。

まるで、ボクだけが取り残されてしまったような、ひとりぼっちになったような錯覚を受けた。

なんでボクだけ、笑えないんだろう?

なんでボクは、ここにいる誰も知らないんだろう?

…なんで、ここにいるんだっけ?

そんな当てもないことを漠然と考えてた時だったよ。

ぱきん、と。

音がしたんだ。

振り返ると、「友達」がいたのさ。

………

…友達?

友達、って

なんで

なんで友達ってわかるの

その「友達」は、足の先っぽの方が石になっていた。

そして足先の石の部分が、身体の上の方へと這い上がっている。

見渡すと、他の仲間達も、同様に石になっていく。

みんなが石に、侵食されていく。

それをただ、呆然と眺めることしかできない。

「友達」が

ぼろぼろ涙を零しながら

満面の██で

「わたしたちの ぶんまで


……

…………

ぷつり、と夢が終わった。

…とても、寂しい夢だったよ。

…?その目に溜まってるものは何、だって?

君、乙女の繊細な心に秒で踏み込む癖、まだまだ現役なんだね?

ふふ…まあ、今日くらいは許してやろう。

夢の外では、ボクをひとりぼっちになんてしないでおくれよ?

そう言って、ソファにうつ伏せに寝転ぶ。

涙を拭うことはせず、もはや姿は思い出せない「友達」に応えるように、そっと微笑んだ。

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