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『嘘つきは地獄に堕ちるのよ』
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本Taleには、脱出マップ『鍵壊人』のEND-Eのネタバレが含まれています。
未プレイの方は閲覧非推奨ですだとか言ってないで全員見ないで閉じてあっち向いててもう嫌だ聞きたくない聞きたくない聞きたくない私キーとお話したかっただけでこんなの望んでないから『計測機器』やめてやめてやめ『うるさい』てやめてやめてやめて、やめて、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!おねがい、うるさい、たすけて、やめて、やめて、クソ-(うるさかったのでノイズキャンセルを発動しました(←うるさいクソ死ねうるさいのはお前早く喉を抉り抜かれて死ね))
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「お嬢様。…顔色が悪いように見受けられますが」
「…そう?別に普通だけど」
孤児院の個室にて、両腕の無い少女が首から提げた鍵と会話している。
「目の下のクマが酷いですよ、お嬢様。最近あまり眠れていないのではありませんか?何かお悩みごとがありましたら、どうぞ私を頼ってください。お嬢様の心を悩ませるものは、全て私が取り除いてみせますゆえ…」
「ううん、大丈夫だよ、キー。ただ…いらない事を考えてただけなんだ。こんな事思っちゃいけないかもだけど、鏡の中のお嬢様として振舞ってたあの時間は…楽しかったなあ、とか。余計なこと考えちゃってさ。」
「…お姿がなんであれ、私にとってお嬢様はお嬢様です。レスティアお嬢様の好きなように振舞って頂いて良いのですよ?」
その返答を聞き入れれば、レスティアはあはは、と苦笑いしながら頬をかく。
「…あの場所で格好だからこそ、お嬢様として振る舞えてたとこあるからなぁ。今はそんなの気恥ずかしいって……」
それでも、キーと何気なく会話できる日常に感謝を覚える。
楽しい。
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とか。言っちゃって。
感謝を覚えられる訳がないのに。
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レスティア・パペットは嘘を吐いた。
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「…ねえ、キー。『なんでも願いを叶える箱』があるって言われたら、信じる?」
「…願いを叶える、ですか。にわかには信じ難い話ですが……お嬢様の言いようからして、あまり冗談のようには聞こえませんね。」
「…あは…ねえ、……キー。私ね。」
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「『ネガイを叶える白い箱』を見つけたの。」
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「よう」
「誰」
レスティアは夜の孤児院の個室にて、白いフードを被った謎の男と対峙する。
レスティアが部屋で思案に暮れていると、唐突にガラガラと窓を開けて何の気もないように部屋に入ってきた。不法侵入者だ。どうしてやろうか。
「俺の事はどうでもいいだろ、実際。お前さ、死にそうな顔してるから心配して来たんだよ。何に悩んでんの?」
「付けてきたの?いつから?キモ。夜だから大丈夫とでも思った?この孤児院は防犯カメラもしっかりしてるし、ヘンリーさんもいるし、」
そこまで発して、レスティアの口が止まる。
ぎ、と歯を軋ませながら続ける。
「……….キーも、いるし」
男はキョロキョロとわざとらしく手でひさしを作り、辺りを見渡す。
「ぷは、誰だよそれ。お前以外いないけど。ヘンリーは今いねーよ、用事で今外に出てるとこだからな。それと、キーって奴は…」
キョロキョロ。再びわざとらしく辺りを見渡した後、言葉を続ける。
「文字通り、世界のどこにもいないけど」
ぶちん。レスティアの頭から、音がした。
「ッ、なんだよお前、誰だよ!!知った口聞きやがってさ、キーの何を知っ”
だん、
という衝撃音と共に脳が揺れる。何が起こったのか分からなかった、けど…気がついた時には、男に首を強く捕まれ、壁に抑え付けられていた。
「カン違いしたんだよな。俺の無料サービスを、ずっと続くモンだとさ。付喪神なんてねーよ、バカじゃねえの!あの鏡だって、俺が電柱から掻い摘んでリサイクルしただけのモンだしな」
「かッ、う゛、う゛ ぁ」
バタバタと足を振り回して藻掻くが、まるで無意味だった。両腕の無いレスティアは、ただただその状況を享受することしか出来ない。
「お前どうせ”キーは実際に喋ってる”とか反論してくんだろ?それされんのがウザったくて首絞めてんだけどさ。じゃあなんでお前は今、そのキーがめっきり喋んなくなった事に悩んでんだよって話」
ぐるんと黒目が回り、代わりのように頭が回らなくなる。足がピクピクと痙攣し始めている。刹那、身体を無造作に部屋の隅に投げられ、がん、と頭に衝撃が走る。ひゅー、ひゅー、という空気の抜けるような音が首から鳴っている。
…朦朧とする意識の中、必死に頭を回す。こいつは何者で、なぜ、初対面の私の事を虐げているのか。
「キーが喋ってたように見えたのは、俺の仕業だよ。一時的に『キー』の残影をお前の潜在意識に宿して、喋ってるように見せていただけ。本当のキーなんてどこにもいない。付喪神なんてファンタジーじみた理由じゃない。鍵は鍵。そもそもキーはお前の夢の中の存在だ。ここは現実。わかるだろ。そりゃそうだろ」
なに、言ってるんだ。
…落ち着いて。冷静に考えて、こいつは不審者だ。多分、純粋に人を痛めつけるのが好きなだけのサド野郎。だから、私の精神を弱らせるために、こんな事を言ってきてるんだ。絶対に。
そんな事、わかってる。
︎︎わかってるのに。
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「うわ、首絞めても泣かなかった癖に急に泣くなよ。泣いたらヘンリー先生でも助けに来てくれんのか?隣町まで遠出してるヘンリーが?」
見下すように言いながら、男は続ける。
「はは……じゃあ、本題だ。そんなキーと再び会話できる方法があるっつったら、興味あるか?」
「ない。早く帰れよ」
「まあそう期待すんなって。『願いを叶える白い箱』っつー代物があんだけどさ、今回だけ特別にお前にやるよ。なんでも願いが叶う、ただし1回きりだから慎重に願えよ」
くだらない。
「…なんでも願いが叶うって、そんなものある訳ないじゃん。イカれてるんじゃないの?その願いを叶える系でいっつも思うけどさ、じゃあ矛盾を孕んだ願いを唱えたらどうなるの?なんでも願いを叶えるーって文面さ、実際誰が信じられるの。客寄せでそう謳ってるようにしか思えない」
「大抵の矛盾はなんとかなっちまうんだよ。例えばもし願いが2つあって、AがBに勝ちたいと願い、BがAに勝ちたいと願った場合、AがBに勝った世界線とBがAに勝った世界線の2つの世界が増えるだけだ」
禁忌のパラドックスにさえ抵触しなきゃな、と白いフードの男は付け加える。
「……増える」
「ま、どうでもいい話だろ、今のお前には。説明はしてやったからな、俺はそろそろ帰るよ。後は願うなり箱をゴミ箱に捨てるなりご自由に!じゃあな!」
白いフードの男はそう言うと、瞬きの間に目の前から消える。後に残されたものは、白色の立方体だけ。
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…『なんでも願いが叶う箱』と対峙して。
それから、首から提げた鍵を見て。
……私は。
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『キーホルダー』
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「……っていうことが、数日前に起こったんだ。」
「…なるほど……その箱を使用して、私の意識を鍵に戻して頂けたという訳ですか……申し訳ございません、お嬢様を支える『よかった』立場でありながら、私をキッカケにしてお嬢様をトラブルに巻き込ませてしまい……」
「ううん、いいの『よくない』、キー。私にとってキーは何よりも必要な存在で…あなたさえいれば、私はそれで十分だからさ。」
『まだ根に持っているの』『黒いインクが零れた』
「だから、だからだからだからだからだからだからだからだから だから !!!!!!!!」
「うるさいって言ってんだろうが!!!!!!!」
『彼岸花』『蜂の幼体』『小指』『ブザービート』
がん、と力強く右足で机を蹴り、上に乗っていた花瓶が床に落下する。
ガシャーンと大きな音を立てながら割れた花瓶の破片が四散すれば『薬物でもやってるの?笑』、音を聞きつけたヘンリーさんがぱたぱたと駆け足で部屋にやってくる。
「れ、レスティアちゃん、どうしたの!?大丈夫、怪我はない?」
「……あ ……….」
ぼろぼろと涙が流れていく。
「……ごめんなさい、ヘンリーさん…わたし、花瓶、落としちゃって…私がやったの、本当にごめんなさい………」
「花瓶なんていいのよ、レスティアちゃんが無事なら!破片を踏むと危ないから、そこを動かないでちょうだいね」
ヘンリーさんがちりとりで破片を集めてくれている間、キーが私に心配の言葉をかけてくれていた気がするが、私の耳には届いていなかった。
…違う、違うってば。私の心が荒んでたからキーの言葉が耳に入ってないとかじゃなくて。
「届いてなかった」んだ。
お前たちのせいで。
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『人を溶かす溶液』『所詮ただの演出なんだからそこまで脅さなくていいのに』『リコーダー洗わないと』『疲れた』『レスティアちゃん大丈夫かしら』『死ね』『あれどこいった』『夢にまで見た現実だ!幸せだ!ありがとう神様!!』『机の引き出し』『本当?』『イライラする』『死ぬなら死ぬで早く死ねばいいのに』
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キー。私ね。ただ、キーとお喋りしたかっただけなんだ。
だから 「キーのお話をもう一度聞けるようになりたい」って願ったんだ。何もおかしな願いじゃないでしょ?
そしたら キーの声が聞けるようになったのはいいけど。余計なものまで聞こえるようになっちゃってさ。
誰かの独り言とか他人の心の声とかお前らの声とか何もかも、全部全部無作為に聞こえるようになった。お陰で毎晩まともに寝られてないんだ。
もう疲れた。君たちもこんな記事を最後まで見なくていいと思う。そろそろ閉じたら?
あはは、誰も記事を閉じないや。だから私が読み取る心の声も増えてくのに。君たちがうるさくって仕方ないって話なのに。好奇心は人を殺すんだよ。君たちは全員趣味の悪い人殺しだ。
四六時中誰かの声ががんがん響いて、もうまともにキーと話すどころじゃなくなっちゃった。あまりにもうるさくって、トイレで3回吐いた。それでも鳴り止まない。…私は耳も防げないし、もう一生鳴りやみそうにもないからさ。もしお前らが私の立場になったら、どうしちゃうと思う?
『耳を切り落とせばいい』
耳を切り落とす?腕も無いのにどうやって?それに枕で耳を塞いだって頭に直接響いてるんだ、そんなのなんの解決にもならない。
『箱を探せばいい』『もう一度願いを叶えれば?』『願い直せばいいだろちょっとは頭回せガキ』
もう一度箱を探す?それこそどうやって?あの性悪な男はきっと私の苦しんでる姿が見たかっただけだよ。そんなゴミ野郎がもう一度チャンスをくれると本気で思ってる?
『自殺しろ』
『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』するから『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』『自殺しろ』
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「……お嬢様。何をなさるおつもりですか」
キー。私のお嬢様になるなんてくだらない願望から生まれた、私の被害者。底抜けにいい人で、私にはもったいなさすぎる私だけの執事。
「…ねえ、キー。私ね、もう限界でさ。何をしようとしてるのかバレてるみたいだけど、…もう私、たぶん、キーに何言われても止まれないんだろうなってとこまで来ちゃってて。さ。」
キーは何も発さず(あるいは小さく何か発していたかもしれないがほかの声にかき消された)、レスティアの声を聞いている。
「ついてくる?ここにいる?私のこと、止めるなら置いてく。ヘンリーさんに言えば、きっとキーの事だって大切にしてくれると思う。…ヘンリーさん、いい人だからさ」
「………..」
「……私の身と心は、全てお嬢様のために与えられたものです。…何処までも、着いていきますよ。」
「………そ。じゃあ、いこっか」
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『レスティア・パペットは もう助からない』
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なんとなく、そんな答えが返ってくるのは分かっていた。
本当は是が非でも私のことを止めたいんだろう。「正気ですか、お嬢様」だとか、「もう一度だけ冷静になってお考え下さい」だとか、言いたいんだろう。だって、着いていきますよって声も震えてるしさ。
それでも自分の気持ちを押し殺して、私のことを止めないってこと、…わかってた。だって、キーは優しすぎるんだもん。
足で器用に開けた窓から部屋を抜け出す。孤児院の門は閉まっているため、秘密の抜け道から外へと出る。
「…宛ては…あるのですか、お嬢様。」
「うん。あるよ」
あんまりない。
無いけど、まあ、歩道橋から落ちでもすれば死ねるかなあ、だとか漠然と考えている。人に迷惑がかかるなんて知ったことか。世の中の人は、自殺するような人間に死んだ後のことを気遣う余裕があるって本気で思ってるのかな。死んだら全部忘れちゃうのにさ。
「そう…ですか。…お嬢様。何か、お話をしませんか?今まであった事を、振り返りませんか?」
「…ん。いいよ。じゃあ、最期に何か話そっか。でも実を言うと、雑音がうるさいせいで今もキーの言葉が聞き取りづらくてさ…半ば一方的な会話になっちゃうかもだけど、いいかな?」
「ええ。ぜひ、お聞かせください。」
「……ん。じゃあねー……」
ふらふらと最寄りの歩道橋へと向かうまでの間、キーと他愛もない話をした。
こんなの、キーは本意じゃないのなんて分かっていた。話そうなんて提案を『あれ、誰に喋ってんだ』してくれたのも、ほんとは思い出に絆されて思いとどまってほしいからに決まってる。
だから、本当にごめんね。必死の思いで手に入れた現実が、こんなに辛いだなんて思わなかったの。
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私たちは、お互いに嘘を吐いた。
キーの嘘は、全部私のための優しい嘘で。
私の嘘は、エゴだらけの汚くて醜い嘘だ。
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『何あれ』『女の子?』
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真下を見れば、車が次々と通り過ぎていっている。
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歩道橋に足をかける。
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「私たち、ずっと一緒だよ。キー。」
「…………………ええ。……お嬢様。」
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『は』『何してんの、あれ』
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ごめんね、キー。最期まで嘘つきで。
キーは優しいから。きっと天国に行けるよ。
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本当に、ごめんね。
私たち、もう一緒にはいられないんだ。
だって、悪いやつは地獄に堕ちちゃうから。
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私 あなたと一緒のとこには行けないや。
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『タイヤに頭と下腹部を抉られて即死だって。惨い死に方よね』『俺死体見ちゃったんだよ、マジ最悪。事故の衝撃か知らないけど両腕が無くてさ、内臓が散っててさ、俺もうしばらくメシ食えねーって』『轢いちゃった人は災難ね』『いつ頃起きましたか?出来る範囲で、詳しいことを順番に教えてください』『うちの子と同学年くらいの子だったわ。どうしてこんな…』『ウチの街であんな事件が起こるなんて』『鍵?』『あの事件で死んだ子さ、結局自殺だって。なんで自殺なんかしたんだろうね』



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